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自動バレーパーキングという自動運転には欠かせない技術を知っていますか?
自動運転というと、自動ブレーキとか、信号の認識とか、レーンから外れないとか、人が乗っているときのことばかりにフォーカスされます。
しかし、自動車って、乗っていない時間の方が圧倒的に長い。
人が移動した後に必要になるのが自動バレーパーキングです。
そんな縁の下の力持ちともいえる自動バレーパーキングについてメリットや課題も含めて考えてみましょう。
自動バレーパーキングなら、広い駐車場で空き場所を探す必要なし!
自動バレーパーキングは、車が広い駐車場で、空いている場所を探して、自動で駐車してくれる技術です。
ホテルのバレーパーキングだと、駐車場係のスタッフがキーを受け取り、ホテルの専用駐車場に止め、必要な時に、フロント前に持ってきてくれます。
これを自動運転で実現するのが、自動バレーパーキングになります。
コンビニぐらいの駐車場や、数十台程度の駐車場なら、空き場所を探すなんて苦労はしませんが、ショッピングモールや遊園地では大変です。
特に、年末年始やGWのディズニーランドに行くと、『いったい、どこに止めればいいの?』、『どんな遠くに止めることになるの?』って不安になりますよね。
そういう時って、家族が先に降りて、お父さんは空き場所を探してグルグル回って、やっと止めて家族のところへ行くと、必ずこう言われます。
「もー! パパ、遅いんだからー! アトラクションに間に合わなかったじゃない!」
こんな嫌な思いをしなくなるのが、自動バレーパーキング。
入口で全員が下りて、後は、自動車任せ。
車が、駐車場のシステムと交信し、空きスペースまで自動運転で移動します。
空きスペースに到着すると、自動で駐車スペースに入り、呼び出されるまで、そこで停止します。
遊園地で思いっきり遊んで、大きなヌイグルミも買って、帰るときも、出口で自分の車を呼び出すだけ。
車が自動運転で、あなたのいる場所までやってきてくれます。
これなら、歩き疲れた子供たちを抱っこして遠くの駐車場まで行く必要もありません。
どこに駐車したか覚える必要がないどころか、遊園地の複数の出入り口のどこから出ても、その場所に車が来てくれます。
駐車スペース探しから解放される自動バレーパーキングですが、大きく分けて2つの方式が考えらえています。
車両と駐車場が通信しながら行う協調方式
駐車場の地面にセンサーを埋め込み、空き場所を管理して、そのシステムと車が通信して、自動バレーパーキングを行います。
緊急時には、管制室にいる人間が、すべての車を停止するなどコントロール可能です。
これは、今の空港と同じような仕組みですね。
空いている場所を探す必要がないことや、空きスペースまでのルートも最適化できるので、混雑を最小限にすることができます。
しかし、設備投資が大きく、また、センサーのメンテナンスなど、維持費も掛かるのが欠点です。
車両が空きスペースを探す自立方式
駐車場は、今のままで、それぞれの自動車が自動運転でぐるぐる回りながら空きスペースを探し駐車する方式です。
単純に、今でも人間のドライバーが行っていることを自動化するという仕組み。
駐車場は今のままで、大きな変更が必要なく、ショッピングモールなどの施設側には経費負担が少ないのが大きなメリットです。
しかし、個々の車が勝手に動き回って空き場所を探すので、空きスペースが少なくなると、駐車するまでにかなり時間がかかることになり非効率。
また、それぞれの車は勝手に動いているので、駐車場が混雑しても制御できなくなるのは大きな課題です。
例えば、多くの人が一斉に、自分の車を呼び出したら、同時に車が動き出すので駐車場の中が渋滞になってしまいます。
自動バレーパーキングは、便利で安全、そして効率的
自動バレーパーキングは、何がいいのでしょうか?
今でも高級ホテルに行けば、駐車場係がいて、車を預けると、専用の駐車場に停め、出るときにはフロントに言えば、駐車場から出してくれます。
このサービスが、ショッピングモールや遊園地で利用できれば、ものすごく便利ですよね。
空きスペースを探して、ぐるぐる回ることもないし、帰りに、重たい荷物を持って、車を探す必要もありません。
また、駐車場の中って、人がうろうろする場所なので、接触事故なども多い場所。
屋内の駐車場だと暗い場所があって、人が立っていたり、ショッピングカートが置いてあったりするので、危険なこともあります。
屋外の駐車場では、小雨が降っていると、小走りにかけていく人も多く、夜は見えにくくなります。
自動バレーパーキングでは、駐車場内には、歩いている人はいません。
もちろん、ショッピングカートが置きっぱなしなんてこともありません。
そもそも、人が駐車場内を歩くことがないので、人のための通路を確保したり、駐車場から施設への入口を作ったりする必要がありません。
ショッピングカート置き場なども必要ないので、駐車するスペースが広くとれるようになるのです。
さらに、人が乗り降りする必要がないので、車と車の間は狭くても問題ないので、より多くの車を駐車できます。
また、駐車場内には、人が入らない場所になるので、車上荒らしや、車にイタズラするといったことも起きません。
便利で、安全で、そして、効率的。
それが、自動バレーパーキングなのです。
自動バレーパーキングは、いいことだけじゃない。最大の課題は標準化
自動バレーパーキングは、とても便利なのですが、いいことばかりではありません。
何事にもデメリットはあります。
まず、自動バレーパーキングは、その機能を持っていない車との混在は難しいところにあります。
自動運転でも、人間が運転する車と一緒に公道を走るには、課題が多いのですが、駐車場内では、もっと難しくなります。
一般道では、基本的に車道を人が歩くことは、まず起きないですが、駐車場の中では、人が『車道』を、ウロウロしている状態です。
そんなところで、自動運転にすると、ぜんぜん動けなくなってしまいます。
逆に、自動バレーパーキング対応の駐車場に人が運転して駐車すれば、隣との車の間隔が狭いので、乗り降りできません。
そうなると、一般の駐車場と自動バレーパーキング駐車場と分けることになり、施設側にとっては、頭の痛い問題ですよね。
自動バレーパーキングの機能がすべての車に搭載されたとしても、課題はあります。
なんといっても、自動バレーパーキングの通信セキュリティの問題があります。
駐車場システムとのやりとりや、持ち主から呼び出されたら動き出すようになっているので、その通信のセキュリティが問題になります。
これが破られてしまうと、赤の他人が、勝手に車を操作して、外に出して盗まれることだってあるでしょう。
あるいは、駐車場内で、車を暴走さえて事故を起こし、テロ行為を引き起こすことも可能になってしまいます。
意図的に行わなくても、電波障害や混線することで、誤作動し、別の車が動き出すことだって起きるかもしれません。
電波は目に見えないだけに、対策がなかなか難しいのです。
後は、自動バレーパーキングで、人が下りてから、駐車するまでの時間、呼び出してから乗り場に出てくるまでの時間が問題になります。
駐車場の空きスペースを探す手間が省けるから便利だとしても、帰りに入口で何十分も待たされたら、たまらないですよね。
そんなに待たされるなら、「駐車しているところまで歩いて行って、車の中で待つよ」って言いたくなります。
自動バレーパーキングには、人がいない、ショッピングカートもないという前提になるので、ある程度スピードを出して、空きスペースに素早く停めることが求められます。
現状の車に搭載されているハンドルから手を放してできる自動パーキングの機能では、あまりにもゆっくり動くので、効率がいいとは言えません。
最後に最大の課題を挙げておきます。
一番大きな課題は、自動バレーパーキングの標準化です。
人間が運転する場合でも、トラブルになりますが、駐車場って、明確なルールがあるわけではありません。
前向けに止めるところもあれば、後ろ向けに止めてくださいと書いてあるところもあります。
回り方も、決まったルールがあるわけではないので、混んでいると、少ない空スペースを競って、トラブルになることもあります。
自動バレーパーキングでも、何らかのルール、標準化をしておかないと、ある車は駐車場を右回りし、ある車は左回りするとなると、混雑します。
駐車場システムと交信する協調式の自動バレーパーキングだとしても、そのシステムと交信する通信方式が標準化されていないと、大変なことになってしまいます。
ましてや、ここに、海外の車も入ってくるとなると、世界的な自動バレーパーキング標準化を行っておかないと、使えない駐車場が増えていきます。
ただ、これは、自動車メーカーだけでなく、IT企業の主導権争いがあり、なかなか一筋縄ではいかないのが現状ですが・・・。
自動バレーパーキングは、目立たないけど、完成しないと自動運転が実現しない!
自動運転というと、どうしても、自動ブレーキや、交差点での周囲の車との判断、あるいは、道路のカーブに沿ってハンドル操作などに注目されます。
これらの技術は、車が動いているとき、人が乗っているときに必要な安全性を重視したことなので、関心が高いのは当然です。
また、一般の人に向けても、インパクトがあり、分かりやすい内容なので、ニュースでも、これらの技術開発ばかり紹介されます。
しかし、車は人が乗っているときよりも、人が乗っていない時間の方が長いのです。
そして、目的地に行って、降りるときに、絶対に運転手がやらなきゃいけないことが駐車場に入れること。
特に、大きなショッピングモールだと、買い物をした後に、大きな荷物を持って歩く距離を少しでも短くしたいから、競って出入口近くに駐車しようとします(笑)。
最近は、駐車するときに、自動的にスペースを判断し、バックしながらハンドルを切ってくれる自動運転を応用した技術もあります。
車から降りて、スマートフォンで操作する車も出てきていますよね。
ただ、これは、『空いている場所』は人間が見つける必要があり、さらに、そこまで運転する必要があるのです。
数十台程度の駐車場ならまだしも、ショッピングモールや遊園地のような何百台も止められる場所になると、空き場所を探すだけで疲れてしまいます。
4階建て、5階建ての立体駐車場だと、グルグルと上って、結局、屋上・・・・なんてこともありますよね。
自動運転になっても、こんなことをやっていたら、耐えられません(笑)。
自動運転が進み、レベル5と言われる完全自動運転、つまり、ハンドルもペダルも触らなくていい状態になると、大きな駐車場で止める場所を探すのも車にやってもらうしかありません。
ハンドルもペダルもないレベルになると、家の駐車場に入れることさえ、車が自動的にやってくれないと、車庫に入れることすらできなくなるのです。
自動バレーパーキングは、見た目は、それほど派手な動きをするわけでもないですし、信号もない駐車場を移動して、空きスペースを見つけるなんて、簡単に見えます。
しかし、そこには、公道を走るのと同じぐらい、さまざまな課題があり、縁の下の力持ち的な必須の技術になっています。
あまりニュースにはならないですが、自動運転とは切ってもきれない技術の自動バレーパーキングに注目しておきましょう。
キャッチ画像引用:https://www.toyota.co.jp/jpn/tech/smart_mobility_society/ces_2014/
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