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自動車用語の「4WS」って知ってますか?
「四輪操舵」と訳すそうなんですが。
4WDはよく聞きますが、全然別物ですよ。
でも実は4WSも、かつて一世を風靡したシステムだったんです。
4WS(四輪操舵)とは? その仕組みを解説
4WS(四輪操舵)とは「4 Wheel Steering」の略称です。
基本的にフロントタイヤだけが操舵輪になっている通常の車に対して、リアタイヤにも操舵機能がある車に搭載されたシステムを指します。
地面に接している4つのタイヤの全てがハンドルを動かすことによって同時に向きを変えるため、小回り性能や走行時の安定性能を向上させています。
4WSはハンドルを切った際にフロントタイヤと逆方向にリアタイヤが動く「逆位相方式」と、フロントタイヤとリアタイヤが同じ方向に動く「同位相方式」の2種類があります。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E8%BC%AA%E6%93%8D%E8%88%B5
速度が速いときは同位相方式、走行速度が遅いときは逆位相方式とそれぞれに適した状況があります。
これは、走行速度やハンドルの操舵角度を判断し、必要に応じて自動制御で切り替える仕組みとなっています。
最新技術によるシステムと思われがちですが、実は1980年代には一部の乗用車に採用されていたシステムです。
一時はちょっとしたブームにもなり、カーレースの世界でも多くの車に搭載された過去がありました。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E8%BC%AA%E6%93%8D%E8%88%B5
しかし、従来のハンドリングとの違和感が大きく、それを改善することができなかったことで人気が下がり始めます。
さらに、システムが複雑で車両価格が高額になってしまうため、販売台数が伸びず自然消滅して現在に至ります。
ところが最近になり、違和感のある動きではなく、システムによる制御を感じないほど自然に作動するようになったことから再び注目を集め、SUVやサルーンなどの大型車を中心に搭載されるようになっています。
4WS(四輪操舵)のメリットとデメリットとは?
4WS(四輪操舵)のメリット
4WSのメリットとしては、まず小回りが利くことです。
一般的な車の場合は、ハンドルを切ることでフロントタイヤに舵角を与えて方向転換します。
ですが、舵角が大きくなる場合は内輪差も大きくなるため、大型車両の場合など一度で曲がりきることができない場合があります。
その点、4WSを搭載している車の場合は低速時の逆位相方式により内輪差が小さくなります。
そのため、曲がる角度が大きくなることが特徴で、都市部などの狭い道路や車庫入れなどにおいて大変便利なシステムと言えます。
引用:https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
また、一般的な車が曲がろうとするときには、リアタイヤはねじれを生じてしまうため、高速走行になるほど曲がりにくくなります。
しかし、4WS搭載車の高速走行時は同位相方式となるためリアタイヤの直進性が緩和されることになります。
よって、車線変更時などの横滑りなどを防ぎ、安定性が向上するなど、速度に対して理想の車両運動特性をあらゆる状況において保てることもメリットです。
開発当時の4WSと比較して、近年の4WS車はセンサー技術が向上し、4輪のトラクションをより正確に車自体が感知できるようになりました。
加えて、リアタイヤのレスポンスを少し遅らせるなどの工夫を加えたことにより、違和感を感じずに操作することが可能となっています。
4WS(四輪操舵)のデメリット
1980年代よりも大幅に性能が向上した4WSですが、メリットばかりではなくデメリットもやはり存在します。
速度に応じて逆位相方式と同位相方式が、自動制御で切り替わるのは前述のとおりです。
その際、完全に車を停止させずに動いたままの状態で方式が切り替わる際には、ハンドリングがどうしても不自然になってしまう点がデメリットのひとつです。
引用:https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
さらに、逆位相方式の場合には、リアタイヤが常にフロントタイヤと逆向きになるように動くため、縦列駐車の場合に縁石や壁などに車両を寄せることが難しくなってしまいます。
また、内輪差が少なくなるためハンドルを大きく切った場合に、車両の後部が外側に振り出されてしまうことがあります。
この状態は「オーバーハング」と呼ばれ、4WS最大ののデメリットとして挙げられます。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%B0_(%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A%E7%94%A8%E8%AA%9E)
いずれも4WSの動きに運転が慣れてしまえばデメリットではなくなりますが、慣れるまでは運転はもちろんのこと、狭い駐車場に車を停めるときなどは特に気を付けなければなりません。
また、4WSに慣れた場合は、システムを搭載していない車に乗るときに逆にハンドリングに違和感を持ってしまいます。
特に、この場合は高速走行時など危険に直面することがありますので、運転するときには細心の注意を払うことが大切です。
【今さら聞けない?】4WSと4WDの違いとは?
4WSとよく似た車用語に4WDがあります。
知名度としては4WSよりも、よく聞く自動車用語として一般的に知れ渡っているでしょう。
4WDは「4 Wheel Drive」の略語で、最近ではAWD(All Wheel Drive)とも呼ばれるようになりました。
4WDとは日本語では「四輪駆動」の意味で、現在はフルタイム方式とパートタイム方式の2種類に区分されています。
しかしいずれも構造的には同じで、常に4WDの状態であるものをフルタイム方式、ドライバーの操作によって2WD(二輪駆動)と4WDに切り替えられるものをパートタイム方式と呼びます。
4WDはエンジンからのトラクションが、センターデフを介してリアタイヤへ分配されるシステムです。
フロントかリヤのどちらか一方が空転しても走行できるため、悪路に大変強いことが特徴となっています。
2WDの場合、駆動輪がぬかるみにはまったりすると抜け出すのが困難ですが、4WDなら全てのタイヤが駆動するため比較的抜け出すのが簡単になります。
また、エンジンの力を効率よく分配できるため、路面に対するグリップ力が強くなることなどがメリットです。
逆に車両重量が重くなるため燃費性能が悪くなるというデメリットがあります。
一方の4WSはハンドルの動きに応じてリアタイヤの舵角が変わるだけで、リアタイヤ自体が駆動するワケではないことが4WDとの違いです。
しかし、国産車ではまだありませんが、一部の外国車において4WDかつ4WSのシステムを搭載した、大型SUVやサルーンタイプの車が既に発売開始となっています。
4WS(四輪操舵)搭載車種
・ホンダ プレリュード
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%89
日本初の電動サンルーフやエスマチックなどを採用、さらにデートカーの代名詞として色々な意味で伝説の車種、ホンダプレリュード。
そして世界初の4WSを搭載した今は亡き、偉大な名車として語り継がれています。
・日産 フーガ Y50
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%BC%E3%82%AC_Y50
2004年から09年まで販売されていた日産のプレミアムセダン、フーガ。
リヤアクティブステアを採用し、コーナリングの際の運動性・高速走行時の安定性を向上させています。
・ポルシェ911 GT3
引用:https://www.porsche.com/japan/jp/
伝統と格式あるスポーツカー、ポルシェ911シリーズも4WSシステムを採用。
「アクティブリアホイールステアリング」と呼ばれ、後輪操舵が自動で作動し、80km/hまでは逆位相、高速移動では同位相で安定性を高めるシステムとなっています。
4WSまとめ
かつては最先端の技術で一世を風靡した4WSですが、完全に車をコントロールできなかったことから残念ながら廃れてしまった過去があります。
しかし、現在では更に技術が進歩したことにより、慣れてしまえばメリットが多いことから、安定した走行のためにも再び普及して早く全ての車に搭載されることが期待されています。
ところが、システムを搭載することによる重量や燃費の悪化などの問題が未だ完全に解決していないため、一部の高級車にしか搭載されていないのが現状です。
車の大型化が進んでいる傾向にある現在、更なる改善を加えて大衆車へも早期に搭載されることが望まれています。
アイキャッチ引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E8%BC%AA%E6%93%8D%E8%88%B5
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