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ホンダが販売する軽自動車の本格スポーツモデルとなるS660 は、往年の名車と呼ばれるかつてのビートの実質後継モデルで、オープンボディー660㏄ターボエンジンをミッドシップに搭載した2シーターモデルです。
ホンダではタイプRもそうですが「S」の称号にも大きな意味があり、S500やS600、S800など往年のスポーツモデルに与えられた称号で、最近ではS2000などまさに真のスポーツモデルを象徴する称号で、最新モデルとなるS660はどのようなスポーツカーなのか、その心臓となるエンジンを詳しく見てみましょう。
S660とはどんなクルマなのか
引用:https://www.honda.co.jp/S660/webcatalog/performance/driving/
ホンダが与えるSの称号には本格スポーツモデルの意味が込められ、それはS500から始まりS800ではモータースポーツなどで大活躍し、近年ではホンダ創立50周年記念モデルとして販売されたS2000があります。
そのどれもがレスポンスに優れたNAの高回転エンジンを搭載し、ピーキーな特性を持つエンジンを使いこなし、固められた足回りを駆使してカミソリのようなコナーワークを楽しむ、これがスポーツカーの醍醐味と言えるでしょう。
引用:https://www.honda.co.jp/S660/webcatalog/performance/driving/
S660は軽自動車でありながら、ミッドシップにエンジンを搭載した本格2シータースポーツとしてホンダが新たにSの称号を与えたモデルなのです。
過去を遡るとホンダには同じく軽自動車の本格スポーツモデルあるビートの存在がありました、ミッドシップレイアウトでオープンスポーツであるビートは、そのNAエンジンによるバイクのような高回転エンジンに誰もが驚き話題を独占したホットモデルで、このS660はそのビートの後継モデルとして大きく期待されデビューしました。
引用:https://www.honda.co.jp/S660/webcatalog/performance/driving/
外観デザインはビートの派生を感じさせるオープンスポーツで、今風のルックスを持ったお洒落にカッコイイデザインとなっています、ビートにはリヤトランクがありましたが、このS660は荷物を積むユーティリティーが全くありません、この割り切りがホンダらしさを感じさせる部分です。
直3DOHCターボエンジンを搭載するS660は、NAエンジンの採用では無かったので市場からの声は賛否両論でしたが、非力なエンジンを感じさせたビートだけにターボエンジンには期待が高まります。
引用:https://www.honda.co.jp/S660/webcatalog/performance/driving/
ターボエンジンを搭載したS660は、専用チューンされたショックアブソーバで適度に固められ標準装備となるタイヤはアドバン・ネオバを装備しています、ネオバと言えばハイグリップタイヤの王様ですからね、しかもリヤタイヤのサイズは195と軽自動車のタイヤサイズとは思えない太いタイヤとなっています。
ホンダが現代のSを作るなら、このS660はまさに1つの答えと言えるスーパースポーツの軽モデルと言えるでしょう、ではS660に採用されたエンジンを詳しく見てみましょう。
S660に搭載されるエンジン
引用:https://www.honda.co.jp/S660/webcatalog/performance/driving/
S660に搭載されるエンジンは、直列3気筒DOHCターボエンジンをミッドシップにマウントされています、従来、ホンダではSやタイプRなどの称号を与えたモデルに搭載されるエンジンは全てが専用設計となっていましたが、このS660では残念ながらN-BOXやN-WGNに搭載されるエンジンをリファインして搭載しています。
エンジンスペック
S07A/水冷直列3気筒横置DOHC チェーン駆動 吸気2 排気2
0.658㏄ 64.0×68.2 圧縮比9.2
電子制御燃料噴射式 無鉛レギュラーガソリン仕様
47[64]/6,000
104[10.6]/2,600
S660専用にセッティングが施され、中高速においてレスポンスを高め、専用のターボチャージャーによる高加給高回転仕様となったS07A型エンジンを搭載し、スポーツ走行において抜群のレスポンスとパワー感を発揮します。
しかしながら、実際に納車されて街中やスポーツ走行を楽しんでいるユーザーからは、絶賛するほどの評価が与えられていないのも事実で、その原因はどうも搭載されるエンジンにあるようです、どういうことなのでしょうか。
引用:https://www.honda.co.jp/S660/webcatalog/performance/driving/
S660のミッションには気軽に楽しめるCVTと、本格スポーツに対応したMTが用意されており、エンジン最高回転数でCVT/7000回転、MT/7700回転と700回転の差がありますが、どちらにしても高回転仕様のエンジンとなっています。
しかしエンジンセッティングにおいて中速行のトルクを増やしたエンジン設定により、6000回転ほどでシフトアップを行う方が伸びるようにセッティングされており、7000回転まで回す必要はありません。
引用:https://www.honda.co.jp/S660/webcatalog/performance/driving/
また、もう1つの問題があり、それはターボラグによる1テンポの遅れが原因となっていて、アクセルを踏み込むと同時にブーストON、そして加給が上がり加速体制になりますが、この加給が上がるまでの僅かな時間がターボラグとしてレスポンスの悪いエンジンと認識させている原因でもあります。
しかし、この背景にはNAエンジンによる高回転、高レスポンスとの対比があり、ターボエンジンとして見た場合、決して問題のあるレベルではありません、むしろターボエンジンとしての特性を理解してドライビングをマスターすればS660はかなり楽しいクルマであることは間違いないでしょう。
エンジンが抱える越えられない壁
引用:https://www.honda.co.jp/S660/webcatalog/interior/cabin/
S660が搭載するエンジンは、ターボエンジンによる高性能なエンジンですが、ターボ独特の特性であるターボラグによってレスポンスが悪いと認識されている部分がありました、しかし実際にはレスポンスが悪いのではなく素晴らしくレスポンスが良いエンジンなのです。
またS660には越えられない壁が存在しており、それが軽自動車であることでご存知のとおり軽自動車には車体サイズや排気量、そして最大出力で細かく規制があります。
馬力で言えば僅か64PS迄となっており、過去の軽自動車はいざ知らず、現代の技術水準では660㏄の排気量でもターボエンジンとなると100馬力くらい簡単に出てしまいますが、残念ながら法規制により64PSと決まりがあるのでデチューンを施す必要があり、高回転域で出力を落とさざる得ない理由があるのも時事なのです。
実際、ECUによるエンジンコントロールで、6000回転以上ではブーストを逃がして加給圧を下げるセッティングが施されているのは有名な話ですね。
しかし、スポーツカーとは絶対的な速さを求めるクルマがスポーツカーではありません、もちろん速さも重要なファクターですが、何よりもスポーツカーの大切な定義とは「運転していて楽しいクルマ」でることなのです。
S660は確かにエンジンを見ると、往年のモデルは趣向が違うところも多いのは事実ですが、何よりもミニマムな車体をキビキビとコントロールして走る楽しさは間違いなくスポーツカーであり、事実、S660のドライビングシートに身を沈めハンドルに触れた瞬間に感じるのは間違いなくスポーツカーの持つ緊張感です。
同じ派生のエンジンを搭載するN-BOXには、この感覚は備わらないでしょう、これがスポーツカーであるS660の神髄なのです。
まとめ
引用:https://www.honda.co.jp/S660/webcatalog/type/gasoline/
S660に搭載されているエンジンに付いて、そのスペックやエンジン事情について調べてきましたが、やはりSの称号を与えられるS660は間違いなくミニマムなスポーツモデルであり、それに応えるエンジンが搭載されていることが解りました。
ターボエンジン故に扱いが難しいところもありますが、ターボが持つ中速域で太くなるトルクを上手く使いながらコーナーを駆け抜ける、それはS660の乗り味でもあり醍醐味でもあるでしょう。
専用にチューニングされたS07A型エンジンの持つポテンシャルは決して低くいものではなく素性の良いエンジンであり馬力規制などによって本来のパワーを封印されている家来もありますが、スポーツカーとして運転を楽しめるモデルであり、Sの称号を持つ一番小さなホットモデルがこのS660なのです。
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