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2018年11月30日、アメリカのロスアンジェルス・モーターショーにて発表された、マツダの新型車、マツダ3は大変な反響を呼び、年末から年始の自動車業界の話題を独占した感があります。
2019年3月に北米で発売するのを皮切りに、2019年中に世界市場での発売になりそうです。
日本での発売日は未発表ですが、様々な情報を勘案すると、6月発売というのが有力で、2月上旬のマツダの公式HPでは、現行のアクセラの一部車種が注文できないとアナウンスしています。
話題満載のマツダ3ですが、現時点で判明している情報や試乗の評価などをまとめてみました。
新型アクセラ(マツダ3)の概要は?
マツダ3はアクセラの後継車種の事で、国際的にはCセグメントに属し、VWゴルフやカローラ・スポーツ(セダン)、シビックなどと競合する、世界でも有数の激戦市場に投入されます。
引用:https://www2.mazda.co.jp
マツダ3という名称はアクセラの輸出名で、日本以外の市場ではアクセラという名前は使われておらず、マツダ3で統一されています。
この度のフルモデルチェンジで、国内向けの名称もアクセラからマツダ3に変更されるのでは?と噂されていますが、わたしの情報によれば「マツダ3」に車名を変更する確率は、ズバリ100%です。
マツダ3の特徴は
- 美しく高品質な内外装
- SKYACTIV-Xと名付けられた、新型エンジン
- 一新されたシャシー系
- シートや静粛性まで追求した心地よい室内
というところでしょう。
これらをそれぞれ解説していきます。
新型アクセラ(マツダ3)の内装や外装は?
マツダ3の最大の特徴は美しく個性的なスタイルです。
マツダ3の外装の特徴
引用:https://www2.mazda.co.jp
車のデザインに詳しくない方でも、マツダ3のデザインに目を惹かれる方はたくさんいらっしゃると思います。
通常、車のサイドスタイル(ドアの方向)にはキャラクターラインという折り目(プレス)が入って、デザインの一部となるのですが、マツダ3はそれを大胆に取り払っており(厳密にはドアの最下端付近に水平のプレスがある)、サイドスタイルを豊かで妖しく波打つ曲面のみで構成しています。
引用:https://www2.mazda.co.jp
キャラクターラインがないと前後のデザインのつなぎが出来ず、サイドスタイルのアクセントにも出来ません。曲面だけでサイドスタイルを構成すると、商用車のようなのっぺりしたスタイルになりがちですし、曲面を大きくうねらせると、ドアパネルなどを製造するときに高い精度を求められます。
マツダ3はドアとボディの隙間も最小限に狭めながら、パネル同士の連続性や映り込みを見事に一致させているように見えます。
まさにマツダの工場のプレス技術の結晶でしょう。
ハッチバックとセダンは全く異なるスタイルでありながら、近親性をもたせており、ハッチバックは躍動感、セダンは流麗さを強調しています。
特にハッチバックのリアドアから後部のかけての力強く美しい張りは、アスリートの筋肉を想像させますし、セダンの優美なうねりは女性のロングドレスのドレープのようです。
デザインの怖いところは、このマツダ3のように圧倒的なデザインが出現すると、従来のデザインが一瞬で陳腐化することです。
わたしはアテンザのデザインは10年に1度の出来だと思っていますし、事実、多くの賞を受けています。
CXシリーズやロードスターなども良いデザインだと思っていますが、正直それらすべてが過去のデザインに感じています。
とはいえ、マツダの新世代群はすべてこのコンセプトに沿ったデザインになると思われるので、現状にがっかりするのではなく、新型車を大いに期待して待ってみようと思います。
コンセプトカーとの関係
この特徴的なデザインは2016年にコンセプトモデルとして登場した「RX-VISION」から始まっています。
引用:https://www2.mazda.co.jp
このコンセプトをベースにハッチバックとしたのが2017年の「魁 CONCEPT」です。マツダ3に非常に似ていますが、フロントフェンダーの張り出しやリアドア後端の窓付近の仕上げは異なっており、マツダ3はより洗練された印象です。
引用:https://www2.mazda.co.jp
一方、セダンはむしろ2018年発表の「VISION COUPE」をベースにしているように思われます。特にフロントフェンダーからドアに向かうラインは類似性がありますね。
引用:https://www2.mazda.co.jp
この「VISION COUPE」は欧州でコンセプトカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれるほどの評判で、改めてマツダのデザイン力が評価されています。
これをベースにするのが次期マツダ・アテ・・・おっと失礼・・・。
マツダ3の内装の特徴
マツダ3は内装も外装に負けないぐらい、質感が劇的に向上しています。
引用:https://www2.mazda.co.jp
実車をまだ見ていないのですが、ジャーナリストの報道によれば、現行アテンザの質感を完全に超えており、クラスの逆転現象が起きているとのことでした。
現行のアテンザといえば、2018年にビックマイナーチェンジがあり、インパネをはじめとした内装パーツを刷新しているので、その質感は少なくとも国内ライバル車を凌ぐ出来だと思います。
引用:https://www2.mazda.co.jp
アウディなどプレミアムクラスに引けを取らないぐらいになっていますが、マツダ3はそれをしのぐとなると、プレミアムクラスに大きな影響を与えるかもしれません。
新型アクセラ(マツダ3)の燃費やスペックは?
技術的なハイライトは、SKYACTIV-Xと名付けられた、世界初の圧縮着火型ガソリンエンジンです。
世界初の”圧縮着火型ガソリンエンジン”SKYACTIV-X
引用:https://www2.mazda.co.jp
エンジンは燃焼室内でガソリンと空気の混合ガスが爆発して、ピストンを動かし運動エネルギーとなります。
燃焼室をドーム球場に例えてみると、従来型のガソリンエンジンはドームの天井付近で点火プラグにより大きな爆発を起こしているようなもので、グラウンドはもちろん、観客席あたりにその爆発エネルギーは届きにくいです。
それに対して圧縮着火は、ドームの天井はもちろん、グラウンドや観客席など、すべての場所で一斉に同時に爆発するようなものなので、その爆発エネルギーはトータルでとても大きくなり、爆発のムラがないので燃料の燃え残りが極めて少なくなります(写真参照)。
引用:https://www2.mazda.co.jp
この圧縮着火はディーゼルエンジンで行われていますが、これをガソリンエンジンで行うのがSKYACTIV-Xであり、市販化は世界初の偉業なのです。
燃焼効率が非常に良いため、同じガソリン量なら大きな爆発=大きなパワーとなり、逆に同じ出力なら少ないガソリン量=低燃費となるため、SKYACTIV-Xは従来型のエンジンに比べて、パワーは2~3割増し、燃費は2~3割向上という、まさに夢のようなエンジンなのです。
マツダ3は2000ccのSKYACTIV-Xエンジンを搭載し、マツダ独自開発のマイルドハイブリッドシステムを組み合わせる予定で、スペックはまだ公開されていませんが、上記の向上値ならパワーは200~220馬力、燃費はWLTCモードの総合で20~24㎞/L程度ではないでしょうか。
エンジンは他にも1500ccと2000ccの通常のガソリンエンジン(マイルドハイブリッド)や1800ccディーゼルターボあたりが用意されそうです。
一新されたサスペンション
もう一つの技術的な話題は、リアサスペンションの形式で、従来のマルチリンク型からトーションビーム式に変更されました。
サスペンションの役割は走行中に刻々と変化する路面の状況に合わせて、タイヤをより正確に路面に接地させたり、路面からの衝撃を吸収したりすることです。
先代(アクセラ)は路面状況の様々な変化に対応して、かつ路面に正確に設置させるため、タイヤの複雑な動きを可能にするマルチリンク方式を採用していました。
しかし、人間が積極的にタイヤの動きをコントロールすることは、物理的な自然の動きに対して不自然ではないかというところから、最もシンプルな動きになるトーションビーム式を採用したのです。
トーションビーム式はシンプルでコストも安いため、低価格帯の車に多く採用されていますが、左右のサスの動きが独立しておらず、半独立式ともいわれ、マルチリンクやダブルウィッシュボーン式のサスペンションに操縦性や乗り心地で劣るとされてきました。
引用:https://www2.mazda.co.jp
マツダはむしろトーションビーム式のタイヤの位置決め性が高いところに注目し、コーナーリングでサスペンションの横剛性を確保しながら、左右のサスが出来るだけ独立して動けるように、左右を結ぶビームの形状を工夫しました(特許出願中)。
その結果、ハンドリングや乗り心地はCセグメントを越えた素晴らしいものに仕上がっています。
それにしてもマツダはFF車のリアサスペンションに自己操舵的な機能を加えたパイオニアであり(初代FFファミリアのSSサスペンション)、マルチリンクも日本で最も早期に導入したメーカーなのに、トーションビームに戻るというのは正直驚きで、基本を磨くことの重要性を教えられました。
ボディ構造とシート
サスペンションを支えるボディも、高張力鋼板を積極的に採用し、大幅に剛性を高めていますが、マツダ3はただ剛性を高めるだけでなく、ボディの一部に力を逃がす構造を取り入れ、まるで日本刀のような、強いけどしなやかなボディになっています。
シートも徹底的に改善され、座るだけで腰骨をしっかり固定し、正しい姿勢を保つように工夫されています。
バブルの頃にドイツのレカロ社のシートが流行しましたが、それに座った時に自然と姿勢が良くなった経験があります。きっとマツダ3のシートもそのような感覚なのでしょう。
これらにより、マツダ3は今までの国産車にないプレミアム感を実現しています。
引用:https://www2.mazda.co.jp
新型アクセラ(マツダ3)の価格・値段は?
気になる価格ですが、国内価格は恐らく6月頃に発表になると思われます。
世界では順次発売が開始されており、北米仕様はベース価格が約230万円ということです。
エンジンの差、装備の差、国別の法規の差があるので、この価格がそのまま国内価格に適用できないのですが、現行アクセラのベース価格が200万円弱なので、マツダ3はおよそ10%アップ程度ではないでしょうか。
すなわち・・・
- 1500㏄ベースグレード・・・・・220万円
- 1800㏄ディーゼル売れ筋・・・・285万円
- SKYACTIV-Xベースグレード・・・320万円
- SKYACTIV-Xトップグレード・・・370万円
このぐらいがわたしの予想です。大きく外れることはないと思います。
ライバルと比較すると、現行ゴルフと売れ筋で30万円ほど安く、アウディA3に比べれば50万円~100万円ほど安いと思われ、この2車にとっては強烈なインパクトがあるでしょう。
新型アクセラ(マツダ3)の評価・評判は?
引用:https://www.mazda.co.uk
北米仕様と欧州仕様の試乗会は2019年1月にアメリカで行われました。
北米仕様は2500㏄の通常のガソリンエンジン、欧州仕様は2000㏄のマイルドハイブリッドエンジンで、注目のSKYACTIV-Xは登場しませんでした。
主な評価は下記のとおりです。
- 思った通りに、しかし実に自然にコーナーを曲がる。
- 静粛性はひとクラス上で、ただ静かなだけでなく、エンジン音やロードノイズなど、異なる騒音でも、その質が揃っている(?)印象で、極めて高級感がある。
- ボディ剛性は高いのに、路面からのショックを実にしなやかに吸収する。
- ブレーキはストロークでなく踏力で効かせるタイプで、実に良いフィーリング
- エンジンは必要十分だが、正直物足りない。
- 室内の質感はCセグメントを越えており、プレミアムクラスである。
- 太陽の下で動いているスタイルは実に魅惑的。
- 現行ゴルフは完全に凌駕し、Cセグメントの新たなリーダーである。
引用:https://en.wikipedia.org
世界中の注目を集めているだけあって、様々な試乗記があがっていますが、異口同音に絶賛されており、2019年を代表する新型車になることは間違いないでしょう。
唯一のネガティブな点はエンジンパワーですが、国内はSKYACTIV-Xやディーゼルターボが本命で、これらの走りは十分に期待できます。また、マツダの事ですから、パワーユニットも年次改良で必ずテコ入れしてくることでしょう。
マツダがプレミアムクラスに本格参入する第1弾となるマツダ3。
今後の追加情報に是非ご期待ください。
アイキャッチ画像引用:https://www2.mazda.co.jp
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