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1989年のデビュー目指して開発が佳境に入ったNSXと同時期に新規格(660cc)時代の軽スポーツとして開発が進められていたのがビートでした。
軽乗用車として初のミッドシップ、フルオープンモノコックボディを採用。
斬新、キュートなデザインで、現在も根強い人気車です。
そんなビートが根強く愛される理由は何か。歴史とともに振り返っていきます。
ホンダ ビートの歴史について
ホンダ「ビート」は、ホンダが1991年~1996年の間に生産・販売した2シータータイプのオープン軽自動車です。
引用:http://www.surgeon.co.jp/menu_c.html
開発チームはもちろん別個、ともにターボではなく高回転型NAで自主規制値(NSXは280馬力、ビートは64馬力)を引き出すミッドシップエンジンの後輪駆動という「ホンダを代表するミッドシップスポーツ」であることには間違いありません。
全長3,295mm全幅1,395mm全高1,175mmのビートのトランスミッションは5速MTのみで駆動方式は後輪駆動、いわゆるMR(ミッドシップ)と呼ばれる方式を採用。
エンジンは直列3気筒自然吸気で1990年から施行された新規格660ccの排気量を持つE07A型を搭載していました。
ハンドル操作に関しては、遊びが少なく、パワーステアリングは装備されていません。
1.175mmと低く設定された全高のため、車内は狭くなりましたが、運転席側を多少広くなるよう調節されています。
引用:http://showa-chronicle.com/1023.html
車両中央に横置きされる「E07A」エンジンは、自然吸気(NA)です。
エンジンはライバル車のいずれも、ダイハツ リーザスパイダーでさえターボエンジンを採用していたのに対して、唯一のNAしかもSOHCエンジン。
当時のホンダがビートで目指したのは、パワーよりむしろレスポンスの鋭さによる人馬一体感。
選択されたのは、何とF1の技術を活かした高回転NA技術でした。
小気味よいレスポンスを得るため自然吸気にこだわり、優れたエンジン性能を得るため軽量コンパクトを求めました。
燃焼室にすばやく多量の空気を送り込むため、多連スロットルが採用され、NAのままで3連スロットルと2つの燃料噴射制御マップ切り替えで鋭いスロットルレスポンスを実現した吸気システムが「MTREC」です。
これにより、自然吸気の軽自動車としては唯一自主規制に達する64PSを8,100rpmで発生します。
最大トルクではターボ車に及ばないものの、最高出力は自主規制値いっぱいの64馬力を達成するとともに、高回転まで気持ちよく吹け上がる、いかにもホンダらしいエンジンになりました。
引用:http://showa-chronicle.com/1023.html
ミッドシップであることにより、クルマの前後重量配分は50:50ではなく後輪側が重くなる傾向となるが、ビートは前輪と後輪でタイヤ寸法を変え高性能ミッドシップスポーツカー、たとえばフェラーリなどの常套手段であり、それを軽スポーツカーで実現したのです。
また、エンジンを搭載する位置によって自動車の挙動が大きく変わります。
ミッドシップレイアウトのメリットは重量物を前輪と後輪の間である車軸間に収めることによって駆動性能の向上やハンドリングの向上に繋がった。
それまでのオープンカーと言えば独立シャシーの上に別体のオープンボディを載せるか、クローズドボディのモノコックを切った貼ったして補強したものです。
それがビートでは最初からミッドシップオープンスポーツとして作られたモノコックということで、さまざまなメカニズムを搭載するのに絶妙なパッケージングが可能となり、前後重量配分43:57と理想に近いボディバランスを実現できました。
ビートの前後重量配分は43:57(1名乗車時)と理想的な重量配分を実現したのです。
エクステリアは当時販売していたホンダの本格スポーツカーNSXを縮小したような低く伸びやかでオープンスポーツカーらしいスタイルが特徴です。
ホンダビートは両サイドにエンジン冷却用のエアインテークが設けられ、ミッドシップであることを強調しています。
幌を開けたときの解放感あるオープンカーらしさとソフトトップを閉じたときの台形型ルーフラインが作り出すクーペらしいシルエットで視覚的にワイド感を与えてくれます。
インテリアはスイッチ類が集約されたセンターコンソールを中心に左右対称に広がりカーブしたダッシュボードの造形によって奥行きを感じられます。
引用:http://showa-chronicle.com/1023.html
1996年1月、総生産台数は3万3,892台にしてホンダ「ビート」は生産終了となります。
オープンカーやスポーツタイプの車の全体としての販売台数の低迷と、1998年の軽自動車規格変更行われたためでした。
普通自動車と同じ安全衝突基準を軽自動車にも採用することとなり、従来のボディでは基準を通らなくなったので、やむなく生産終了となりました。
ホンダ ビートの中古は市場に残っているのか?価格の相場は?
初採用・新技術・応用技術を取り入れたホンダの軽自動車オープンスポーツカービートは今でも手に入れることができます。
もちろん中古車になりますが個体数は数百台が流通しています。
ビートは色で選ばれる事が比較的多い車でもあります。
そのため価格にかなりの開きがありますが、人気車種だけにプレミアが付いたものもあります。
数も多い車種ですので、しっかり納得したものを見つけてください。
ですが、比較的良い状態から手にしたい車でもあります。
エンジンが後ろと確認しにくいため、オイル漏れやマフラーの確認も合わせて行なってください。
オープンカーですので、特に幌の状態は開閉を含めてしっかり確認するようにしてください。
引用:http://www.surgeon.co.jp/horo_koukan_c.html
中古車の車両価格は約15万円~約150万円。
状態が良い車両や特別仕様車・限定車は190万円ほどの個体も存在します。
新車時の価格は約140万円。
数ある中でもオススメはノーマルグレードのビート。
ノーマルのビートをオススメする理由は蘇らせることができるからです。
ビートに乗ってみたい人やビートオーナーが心配することは年式の古さによる経年劣化や部品の調達が難しいのではないかという「不安」です。
しかしホンダが2017年からビートの純正パーツの再販を始めているから心配や不安は必要ありません。
再販パーツは順次ラインナップを増やしホームページに公開。2019年1月時点で100種類以上の純正パーツが再販しています。
現存する最も年式の新しい1996年モデルでもすでに20年以上が経過している軽自動車なのに、状態がよかったり、限定モデルだったりすると、新車価格以上の値をつけている中古車も見掛けます。
ホンダの軽自動車 ビートとS660を比較してみた!
実質的にビート後継として2015年にデビューしたのがS660です。
東京モーターショー2013に参考出品された「Honda S660 CONCEPT」をベースに市販化し、ビート以来19年3か月ぶりの軽自動車規格のオープンカーとなりました。
引用:https://www.honda.co.jp/S660/
軽自動車初の6速MTと7速パドルシフト付CVTの設定があり、安全新設計のシャシ、高いボディ剛性、等まさに次世代の車に相応しい仕様となっています。
S660は直3DOHCターボエンジンのS07を搭載。
最高出力は64psだが、最大トルクが104Nmと大きく、2600rpmと低めの回転から発生。
引用:https://www.honda.co.jp/S660/
現代的な高圧縮型で低回転から効率が良く、2,600回転で最大トルクに達するなど、軽自動車のエンジンだが、ビートのものと比べると、とにかく骨太な仕上がりをみせます。
6速MTは1〜5速をクロスレシオ化、6速で高速巡航性も確保している。
燃費は21.2km/Lを記録している。
引用:https://www.honda.co.jp/S660/
対してビートの「MTREC(エムトレック)」エンジンはSOHCだが12バルブのエンジンなのです。
モード燃費は17.2km/L。
エンジンは高回転型で、回すととてつもなく気持ちが良いのですが、トルク感は薄くて繊細です。
高回転まで引っ張らないと馬力・トルクともについてきません。
かつてのそうした振り回す楽しみを取るか、現代技術の結晶であるドライビングの容易さや速さを取るか。
ユーザーの好みによってニーズが変わってきますね。
愛され続け後継車まで販売し、それまでもが大ヒットしたというビートとS660は、本当に幸せな車です。
アイキャッチ画像引用:http://showa-chronicle.com/1023.html
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