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FCVは燃料(Fuel)と電池(Cell)と自動車(Vehicle)の頭文字を並べた、燃料電池自動車を示す言葉です。
国内で販売されているFCVは、トヨタのMIRAI(ミライ)と、ホンダのクラリティFuelCell(クラリティ・フューエルセル)です。
双方の燃料電池自動車、維持費比較と乗り心地比較をご覧ください。
MIRAIとクラリティFuelCellの維持費(税金と駐車スペース)比較
引用:https://toyota.jp/mirai/gallery/
FCVに限らず、どんなクルマでも所有するにあたっては、毎年の自動車税、定期車検ごとの重量税といった、税金がかかってきます。
引用:https://www.honda.co.jp/CLARITYFUELCELL/webcatalog/styling/design/
トヨタ・MIRAIと、ホンダクラリティFuelCellの税金についてご覧ください。
自動車税比較(2019年3月現在)
トヨタ・MIRAIもホンダ・クラリティFuelCellも、どちらも燃料電池を搭載した自動車(FCV)で、中味は電気自動車ですから、排気量ゼロのクルマなので1000㏄以下という規格に当てはまります。
毎年の自動車税の結果は、両車引き分けです。
ところで、2019年の3月が終わろうとしている現在、2019年4月以降の免税・減税のあり方に対して、どのような展開になるかが、いまだ発表されていませんから、期待しつつ見守りましょう。
重量税比較(2019年3月現在)
MIRAIの車重は1,850kg、クラリティFuelCellの車重は1,890kgです。
いずれの車両も1.5t~2t以下に該当しますから、免税がなければ、2年で一律2万円(車検時)となりますから、重量税の結果も引き分けです。
自賠責保険料(2019年3月現在)
トヨタ・MIRAIもホンダ・クラリティFuelCellも、どちらも普通乗用車に分類されますから、自賠責保険も当然ながら引き分けです。
ところで、自動車税、重量税については、これまで免税や減税によって購入から2年目まで、FCVを含む低燃費自動車を新車で購入することで、消費者には大きなメリットが還元されてきました。
また補助金については、車種によって異なる物の、EVに分類される電気自動車が最大40万円の補助金であったことに対して、FCVの優遇はおよそ200万円でしたから、特にFCVに対する優遇は手厚いものだったことがわかります。
では2019年度の免税、減税、そして補助金制度は、いったいどうなるのでしょう?
我々消費者以上に当事者のクルマメーカーは(お花見のお酒を待っているのかはわかりませんが)春のエコカー減税の発表を、息を飲んで結果を待っていることでしょう。
MIRAIとクラリティFuelCellの(駐車スペースに伴う)外観サイズ比較
駐車スペースに直結するクルマの外観サイズについて、MIRAIとクラリティFuelCellの比較をご覧ください。
ご覧のように、両車いずれもタワーマンションに収まる車両サイズで、広い郊外はもちろん、駐車スペースに制限がある都市型住宅など、住む場所を選ばず、駐車スペースに左右されない外観サイズですから、駐車場維持費も引き分けです。
MIRAIとクラリティFuelCellの燃費比較
では維持費に大きく関わる、両車の燃費対決はどうでしょう?
1充填・走行距離(JC08モードのカタログ値)から算出した、燃費比較をご覧ください。
※1:タンク容量は70Mpa水素を24L/kgで換算しています。
※2:水素価格は1,100円/kgで換算しています。
両車とも限りなく同じ金額ですが、1㎞あたりの走行距離は¥0.02の僅差でトヨタ・MIRAIの勝ちとします。
また、参考までに、新型プリウス(ツーリングセレクション)のカタログ燃費は37.2㎞/Lですから、140円/Lのレギュラーガソリンに換算した場合、新型プリウスは¥3.76/㎞となりますから、ハイブリッド車もまだまだ健在です。
MIRAIとクラリティFuelCellの乗り心地比較
両車とも700万円を優に超える販売価格の車両の乗り心地について、試乗した際のフィーリングについて触れてみましょう。
MIRAIの乗り心地
引用:https://toyota.jp/mirai/performance/
ワインディングを運転していて印象的だった美点は、乗り心地の良さだった。
ミライのサスペンションはかなり柔らかいもので、フラット感は抜群。
快適性のレベルはトヨタのフラッグシップセダン『レクサスLS』よりも高いように感じられた。
中間加速域ではスロットルをかなり深く踏み込んでも、伸びやかにスピードが乗るという爽快感がなく、もっさりとしたフィール。
引用:https://response.jp/article/2014/11/25/238142.html
意外にも柔らかいサスペンションのMIRAIは、トヨタの高級車レクサスLSより快適性が良いだけでなく、ワインディングに対する乗り心地も良いようです。
ただ、1,850kgボディに対する154馬力(0.083馬力/kg)のパワー感は、アクセルを踏んでも”もっさり”としたフィーリングで不満が残りそうです。
クラリティFuelCellの乗り心地
引用:https://www.honda.co.jp/CLARITYFUELCELL/webcatalog/performance/driving/
これほどまでにボディ全体を低くする(全高はトヨタ ミライより55㎜低い)と乗り心地が気になるが、一般道では信じられないくらい心地よい。
発進時や加速時のトラクションもとても良く、FFであることをあらためて考えると搭載位置と重量バランスが最適化されていることが分かる。
高速での加速はかなり良い。静粛性、乗り心地は高級なサルーンのレベルである。
引用:https://www.carsensor.net/contents/testdrive/category_70/_61497.html
乗り心地については高級サルーン車並みという評価が際立ちます。
それでいて、加速感を感じるフィーリングは、1,890kgボディの177馬力(0.093馬力/kg)で、MIRAIよりもパワー感の良さが数字でも読み取れます。
4人乗りで、なおかつトルク値335N・mなのにモッサリ感の強いMIRAI。
対して5人乗りで、トルク値300N・mとMIRAIよりもトルクが小さいはずなのに、加速フィーリングとパワー感を感じることができるクラリティFuelCell。
単なる快適性だけでなく、運転する楽しみを感じる視点での乗り心地を評価するならば、環境性能車に、ホンダならでは?のクルマ性能をチューニングしたクラリティFuelCellの勝ちでしょう。
(個人的には、長い名前のクラリティFuelCellを、短く簡潔な名前にチューニングして欲しいのですが)
MIRAIとクラリティFuelCellのFCV比較!維持費と乗り心地、結果はどっち?
駐車スペースに絡む外観サイズ、毎年かかる自動車税や定期的支払いが発生する重量税、自賠責保険料について、両車引き分けのスペックを持つ、トヨタ・MIRAIとホンダ・クラリティFuelCell。
シビアに燃費性能だけに特化して、評価をくだすというのなら、1㎞あたり¥0.02の燃料コスト安となる、トヨタ・MIRAIに軍配があがるでしょう。
でも、快適性だけでなく、パワー感や加速感を感じるクルマの乗り心地として、チューニングを評価するならば、ホンダ・クラリティFuelCellの仕上がりには、感動を覚えるかも知れません。
では販売価格についてはどうでしょう。
トヨタ・MIRAIの税込み販売価格は727万4,880円です。
一方のホンダ・クラリティFuelCellは、税込み767万2,320円です。
数字だけで見れば、MIRAIの方が39万7,440円安いということになります。
でも、MIRAIが4人乗りで、クラリティFuelCellが5人乗りであることを考えると、乗員1名あたりの価格に換算すると、MIRAIは181万8,720円/名で、クラリティFuelCellは153万4,464円/名で、1名あたり28万円弱もお得に思えるかも知れません。
もともと水素燃料の燃えカスは水(H2O)のみという、完全なるクリーンエネルギーをコンセプトにしている両車ですが、販売型のトヨタ・MIRAIと、リース専用型のホンダ・クラリティFuelCellでは、車検費用を含めた維持費の単純比較ができないだけでなく、トヨタは残価設定プランに買取額50%保証というサービスの展開もありました。
両車の販売戦略に大きな動きがあるとすれば、これまで手厚く優遇を受けていたFCV(燃料電池自動車)の、2019年4月以降の免税、減税、補助金制度の動向の正式発表に大きく影響するでしょう。
また、国だけでなく全国にある地方自治体の、補助金に対する優遇処置によっても、両車の普及と、両車にとっては無くてはならない、水素ステーションの普及拡大にも大きく影響が広がります。
2019年10月の消費税増税(8%→10%)と、2020年の東京オリンピックを目前に、2019年度の燃料電池自動車を視野に入れた次世代自動車普及予算は、過去最大となる8億3,200万円の要求を掲げた経済産業省。
トヨタが掲げるMIRAIの未来?ホンダも掲げるクラリティFuelCellは増えるのか?
その行方に大きな変革をもたらす制度の発表は、もう間もなくです。
アイキャッチ画像引用:https://toyota.jp/mirai/performance/